戦は漢(おとこ)の花舞台。誰が言ったか、その言葉を体現する存在がモノノフである。
　彼らもまた東国の武士階級には違いなく、主君への忠誠や、武功により名を残すといった事を軽視するものではない。一見すると異文化圏の者たちには違いがわかりづらいが、彼らの戦い方を見れば、その差は一目瞭然である。
　ブシドーたちは戦いの果ての死は必然と認識しており、それゆえに高潔なる不惜身命の精神をもって戦いに臨む事を美徳とする。対してモノノフと呼ばれる彼らは、死に生くを問わず全力を尽くす姿勢こそブシドーたちと同じであるものの、モノノフにとっては戦いの場こそが自らの生を全うする場なのだ。彼らの戦いぶりには一切の悲哀は無く、全力をもって試合う喜びすらそこには見られる。
　戦う事で疲れるどころか逆に活力を増していく彼らを、狂戦士のように見る者もいるだろう。だが、生まれついての戦士である彼らが本懐を果たす事を、一体誰が責められるであろうか。